(第9回)近親者のメッセージを書いた紙を被疑者に無理やり踏ませた―志布志事件(2)踏み字事件

捜査官! その行為は違法です。(木谷明)| 2019.05.13
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。

(毎月中旬更新予定)

志布志事件(2)踏み字事件

  • 鹿児島地判平成19年1月18日判時1977号120頁
  • 鹿児島地判平成20年3月18日(公刊物未登載)

本稿では、前稿で紹介した一連の志布志事件のうち、典型的な違法取調べが行われた「踏み字事件」を解説する。警察は、一連の選挙違反が行われたという想定の下、住民を次々に取り調べた。その最初の犠牲になったのがK氏である。K氏は、選挙翌日いきなり警察官から警察への同行を求められ、3日間にわたり、早朝から夜遅くまで厳しい取調べを受けた。身に覚えのないK氏に対し警察が強要したのが「踏み字」であった。

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