(第8回)山形・米沢

ぶらり民法散歩(伊藤栄寿)| 2019.04.22
民法の“聖地”を“巡礼”してみよう。
“聖地巡礼”という言葉が、映画・アニメやスポーツなどの舞台となった場所に赴くという意味で使用されるようになって久しい。
法学の世界にも、“聖地”が存在する(と思う)。かの著名な法学者の生まれた地、あの事件の起こった場所、法学に関係する歴史ある建造物…。上智大学の伊藤栄寿氏が、みなさんをそんな場所へご案内。今日は六法を置いて、この連載を旅のお供に、民法の“聖地”をぶらり散歩しよう。

(毎月下旬更新予定)

山形県米沢市。東京駅からミニ新幹線「つばさ」に乗車し、2時間少々で到着できる。山形県の南部、米沢盆地に位置し、福島県とも接している。米沢周辺エリアで飼育された黒毛和牛は、三大和牛の一つ、米沢牛として有名である。歴史的には、伊達政宗の生誕の地として知られており、もともとは伊達家の本拠地であった。その後、上杉謙信の養子、五大老の1人でもある上杉景勝の領地となり、上杉家の城下町となった。

米沢駅からバスに乗り数分、市街地の中心エリアに我妻榮記念館はある。我妻榮博士(1897年~1973年)といえば、法学者で知らぬ者はいない人物である。米沢市出身、東京大学教授として戦前、戦後に民法学界を牽引した大学者である。第二次世界大戦後、日本国憲法が制定され、それに伴い民法(親族・相続などを定めた家族法を中心とする部分)の改正が必要とされたが、この改正においても、我妻博士は中心メンバーとして活躍された。

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