(第6回)ドイツ主導の景気後退リスクとユーロ圏の協調的財政政策の可能性

EUの今を読み解く(伊藤さゆり)| 2019.03.29
2019 年は EU にとって、イギリス離脱のほか、5 年に 1 度の欧州議会選挙、それに伴う EU の行政執行機関・欧州委員会のトップにあたる委員長の交代と体制の刷新、さらに首脳会議常任議長(通称、EU 大統領)、欧州中央銀行(ECB)総裁も交代するという大変革の年です。このコラムでは、こういったイベントを軸に EU の今を読み解いていきます。

(毎月下旬更新予定)

欧州中央銀行(ECB)が 3 月 7 日に開催した政策理事会で、①政策金利の先行きに関するフォワード・ガイダンスを修正して、19 年内利上げの可能性を排除すると共に、②19 年 9 月から 21 年 3 月まで四半期毎に貸出促進のための金融機関への長期資金供給第 3 弾(TLTRO3)を実施することなどを決めた1)

本コラムの第 3 回でも取り上げたとおり、ECB は昨年 12 月に国債等の買入れを行う量的緩和を停止したばかり。緩やかな景気の拡大が持続するという見通しを前提として、これまでのフォワード・ガイダンスでは政策金利の現状水準の維持は今年夏まで、つまり秋にも利上げに着手、緩和縮小に舵を切る方針を示していた。

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録(無料)はお済みですか? 会員について

脚注   [ + ]