ガバナンスをめぐるパラドクシカルな状況(得津晶)

法律時評(法律時報)| 2018.11.28
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」90巻13号(2018年12月号)に掲載されているものです。◆

1 現在のガバナンスをめぐるパラドクス

2018年は、日本の社会の問題点として「ガバナンス」が注目された1年のようである。

会社法の研究者としては、コーポレート・ガバナンスという用語には従来から接していたところである。だが、今年は相撲やレスリング、アメリカンフットボールにバスケットボールなどスポーツ団体の不祥事などが重なったことから、会社以外の組織・団体のガバナンスに注目が集まっているようである。

その中で、気になる点が1つある。それは、株式会社以外の団体においてガバナンスの視点は不十分であり、株式会社のガバナンスの視点を学ぶべきだという論調である(早川吉尚「多発するスポーツ団体のトラブルとその発生要因」法律時報90巻12号1頁)。もちろん、論者は、株式会社における既存のコーポレート・ガバナンスが十分であると思っているわけではない。株式会社において今もコーポレート・ガバナンス改革の必要性が叫ばれ続けていることは承知の上で、ガバナンス改革の必要性を認識しているという点でその他の団体よりも視点がしっかりしているという論調である。

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