多発するスポーツ団体のトラブルとその発生要因(早川吉尚)

法律時評(法律時報)| 2018.10.29
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」90巻12号(2018年11月号)に掲載されているものです。◆

1 はじめに

相撲、レスリング、アメリカンフットボール、ボクシング、体操、バドミントン…。

これらは、今年になって、統括スポーツ団体内のトラブルがマスコミを大きく賑わした競技である。昨年、一昨年まで遡れば、これだけでは済まない。さらに、マスコミで大きくは取り上げられなかった競技も含めるとすれば、その数は大変なものになる。

もちろん、スポーツ界も人間の集団である以上、派閥抗争や内紛など、トラブルの発生を避けて通ることはできない。しかし、そうした問題ができるだけ発生しないように、透明性・公正性ある手続に従ったガバナンス体制が、ビジネス企業も含めた各種団体には求められている。しかし、これだけ団体内部におけるトラブルが多発しているところをみると、どうやらわが国のスポーツ団体については、ガバナンス体制において何か固有の問題があるように思えてくる。

それでは、その問題とは何か。以下、考察してみよう。

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