【鼎談】格差はどこから生まれるのか? 身近な社会問題から考える(経済セミナー2024年4+5月号)

特集から(経済セミナー)| 2024.03.26
経済セミナー』の特集に収録されている対談・鼎談の一部をご紹介します.

(奇数月下旬更新予定)

近年、格差に注目が集まっている。所得や資産の格差はもちろん、ジェンダー格差も深刻な問題として言及される。しかし、格差が生まれる背後ではさまざまな要因が絡み合っており、一筋縄では理解できない。そもそも格差は問題なのか? 問題であるとすれば、どのような格差が問題なのか? なぜ発生するのか? 人々の行動や経済にどのような影響を与えうるものなのか? 労働、教育、家族などの身近な場面から、格差が生まれるメカニズムに迫っていこう。

1 はじめに

—本日は、日本における「格差」をテーマに、私たちが直面する身近な問題から、主に経済学の視点で議論を深めていきます。まずは自己紹介をいただいた後で、それぞれの関心テーマに沿って格差の現状を概観したいと思います。横山先生から、よろしくお願いいたします。

横山 横山です。私は 2001 年に一橋大学経済学部に入学しました。当時は失業率が高く、「ニート(NEET:Not in Education, Employment, or Training)」という言葉も流行していた時期でした。そのような背景もあり、大橋勇雄先生のご指導のもと賃金硬直性に関する理論モデルを使って失業が解消しない原因を考察する修士論文を書きました。2007 年からはミシガン大学に留学し、修士論文のモデルに実証分析を追加した論文や日本の配偶者控除に関する論文などをまとめた博士論文を仕上げ、2013 年に経済学の Ph.D.を取得しました。その後一橋大学に着任し、2023 年 4 月に教授になりました。専門は労働経済学と応用計量経済学で、主に労働供給に関する研究に取り組んできました。近年は、マイクロ実証の手法を応用し、新型コロナウイルス感染症に関する研究や、飲酒と賃金の関係の分析など医療・健康経済学分野のトピックの論文も執筆しています。

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