[刑法] 立法者の意思を探る(只木誠)(特集:法学入門2024 ——条文に親しむ)

特集から(法学セミナー)| 2024.03.12
毎月、月刊「法学セミナー」より、特集の一部をご紹介します。

(毎月中旬更新予定)

◆この記事は「法学セミナー」831号(2024年4月号)に掲載されているものです。◆

特集:法学入門2024——条文に親しむ

法学の学習は条文から出発する。これから法を学ぶ初学者に、学習の基本である条文に親しみ、理解を深めてもらうための入門企画。

――編集部

1 はじめに

定価:税込 1,650円(本体価格 1,500円)

かの昔の話となるが、筆者が学部生であった頃、刑法の授業で、先生から次のような問いが発せられたことがあった。その問いは、すなわち、「235条の窃盗の条文には『窃盗の罪とし』とあり、236条は『強盗の罪とし』とあるが、199条の殺人の規定には『殺人の罪とし』と、204条には『傷害の罪とし』とはない。どうして殺人罪の規定にはそのような記載はないのか」というものであった。当時、平凡(未満?)な学生であり、それほど深く勉強していなかった筆者は、先生の質問への解答を見いだせないでいたところ、先生からは、「238条の事後強盗罪では条文の記載に『窃盗』とあり、240条の強盗致死傷罪には条文に『強盗』とあるが、その『窃盗』あるいは『強盗』とはなにか。そう、238条で『窃盗』、240条で『強盗』と規定していてもその内容が明らかでないと困るので、立法者は、わざわざ、用意周到に、『窃盗』『強盗』の定義を、その前の235条と236条において明らかにしているのである」という趣旨の説明であった。筆者は、改めて条文に目を通し、なるほどと合点しその説明に納得、後日、その件を友人に披露したところ、実は筆者のみ分かっていなかっただけであり、不明をいたく恥じ入った次第であった。

本稿では、「立法者の意思を探る」と題して、立法者が定めた刑法の条文の意義、条文の体系、条文の解釈等の問題を立法者の意図を探りつつ検討し、刑法の学習における「条文」を学ぶことの重要性を明らかにしていきたい。

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