(第6回)脳の性分化 2:胎児期のホルモンと性指向
ヒトの性の生物学(麻生一枝)| 2024.02.15

このシリーズでは,私たちの人生に密接に関係する「ヒトの性に関する生物学的知見」を紹介していきます.
(毎月中旬更新予定)
前回は,心の性の発達,つまり,自分を男だと感じるようになるか,あるいは女だと感じるようになるかには,胎児期の男性ホルモンが影響することをお話しした.今回は,ヒトの性のもう一つの側面である性指向 — 自分と同じ性の人に惹かれるのか,異なる性の人に惹かれるのか,それとも,両性に惹かれるのか — がテーマである.
さて,私たちがどのような性指向をもつようになるかも,胎児期の男性ホルモンに影響されるのだろうか.胎児期に男性ホルモンが働けば,性指向は男性型,つまり女性に惹かれるものとなり,働かなければ性指向は女性型,つまり男性に惹かれるものになるのだろうか.
