(第22回)太陽系における地球外生命の可能性は?

地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2024.02.19
お馴染だと思っているはずの地球や宇宙も,自然科学の目で見ると実に多様な顔を見せてくれます.この連載では,地球を中心とした様々な対象や現象について,最近の知見をもとに改めて解説します.

(毎月中旬更新予定)

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1960 年代以降,太陽系の惑星やその衛星など多数の天体に探査機が次々に送り込まれてきたが,そこから見えてきたのは,これらの天体は実にさまざまな環境をもつということである.火星にはかつて海や川が存在していたことや,土星の衛星タイタンが有機物で覆われていること,土星の衛星エンケラドスには内部海が存在することなど,生命が育まれる天体は地球だけではないのかもしれない,という発見が続いている.こうした観点から見た太陽系の姿とともに,地球外生命の存在の可能性について,これまでの知見を整理してみよう.

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半揚稔雄(はんようとしお) 1947 年,福岡県に生まれる.その後,北海道札幌市にて子供時代を過ごす.小学校 4 年の 10 月に,ソヴィエト連邦 (現在のロシア) が「世界初の人工衛星スプートニク 1 号を打ち上げた」とのニュースに接して,宇宙に興味を覚える.以来,宇宙飛行に関心を寄せ,物理学で理学士となるも,これが高じて防衛大学校,東京大学宇宙航空研究所 (現・JAXA宇宙科学研究所) などで一貫して宇宙飛翔力学の研究に携わる.この間に,東京大学から工学博士の学位を授かる.

著書:『ミッション解析と軌道計の基礎』(現代数学社,2014 年),『入門連続体の力学』(日本評論社,2017 年),『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) ,『惑星探査機の軌道計算入門 (改訂版)―― 宇宙飛翔力学への誘い』(同,2023 年)など.