(第10回:終)まだまだ続くヨーロッパの高インフレ(土田陽介)

ヨーロッパの直面するエネルギー危機| 2023.09.12
2022 年 2 月、ロシアがウクライナに侵攻したことにより、世界的にエネルギー価格が上昇する事態となりましたが、その中でも最も深刻な影響を受けているのがヨーロッパです。エネルギー危機に直面し大混乱に陥っているヨーロッパは、今後も脱炭素化・EV化を進めていくことができるのでしょうか。また深刻なインフレや財政・金融の問題にも注目が集まります。4名の EU 研究者が読み解いていきます。

(全 10 回の予定)

依然として深刻なヨーロッパのインフレ

このリレーエッセイの初回で、筆者は「ヨーロッパは (中略) 世界的に見ても深刻なインフレに苦しんでいる。インフレが落ち着くとしても、ECB (欧州中銀) が目標とする 2%を上回る状況が当面の間は続くだろう」と指摘した。この見立てのとおり、ヨーロッパのインフレは、ピーク時よりは鈍化したが、依然として深刻である (図表1)。

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土田陽介 (つちだ・ようすけ)
三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング (株)調査部副主任研究員。
2005 年一橋大経卒、06 年同修士課程修了。株式会社浜銀総合研究所を経て、2012 年より三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社調査部にて、エコノミストとして活動。欧州を中心にロシア、トルコ、新興国のマクロ経済、経済政策、政治情勢などについて調査・研究を行う。
主要経済誌への寄稿 (含むオンライン)、学会誌への査読付き論文多数。近著に『ドル化とは何か --- 日本で米ドルが使われる日』(ちくま新書)、『図説ヨーロッパの証券市場 (2020 年版)』(分担執筆、日本証券経済研究所)、『脱炭素・脱ロシア時代のEV戦略』(分担執筆、文眞堂) がある。