違法広告掲載サイト閉鎖の帰結

海外論文サーベイ(経済セミナー)| 2023.01.31
 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です.

(奇数月下旬更新予定)

Zeng, H. S., Danaher, B. and Smith, M. D.(2022) “Internet Governance Through Site Shutdowns: The Impact of Shutting Down Two Major Commercial Sex Advertising Sites,” Management Science;, 68 (11): 8234-8248.

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松井暉

インターネットの功罪

通信技術の革命が起きたことで、世界中の人間が光の速さで一瞬につながる世界になった。個人発信の情報を世界中の人々が目にする環境が当たり前になる劇的な変化である。しかしそれは、さまざまな情報がさまざまな目的をもつ「個人」によって拡散されることも意味する。近年ではいわゆるフェイクニュースが注目されているが、インターネットの黎明期から問題になっているのは、違法性の高い財やサービスの取引である。これらの財には、海賊版のソフトウェアや書籍のようなデータでやりとりが可能なものも含まれる。そして、これらの取引形態の多くは、個人が購買する人を募集し、個人が需要する形態がとられている。違法性の高いサービスとして最も多く取引されているものの 1 つが、「人身取引 (human trafficking)」であり、特にインターネットを介して性的サービスが取引されることが多い。これらの取引は SNS を介しても行われるが、インターネット掲示板を介した取引もいまだに根強く存在する。

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