(第10回)現象を単純化して数式で表したのが数理モデル:予測には幅をもたせるのが普通
コロナと数字と科学:ニュースに右往左往しないためのリテラシ(麻生一枝)| 2023.01.17

(毎月中旬更新予定)
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2020 年 4 月半ば、「何も感染対策をしなかったら、新型コロナウイルスへの感染により日本全体で約 85 万人が重症となる。そのうちの約半数が死亡する」という、数理モデルを使った感染予測が発表された。「42 万人死亡」という衝撃的な見出しが日本中を駆け巡ったので、2 年半以上たった今でも覚えている方もいることだろう。
さて、皆さんはあのニュースをどのように受け止めただろうか。「国立大学の教授が言っているのだから本当だろう」と、何も考えずに受け入れた人もいるだろう。「こんなにピタっとした数字で、予測できるものかなあ」と疑問に思った人もいただろう。どのようにして 85 万という数字が出てきたのか、その計算プロセスを知りたいと思った人もいただろう。
