(第8回)太陽の構造

地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2022.12.15
お馴染だと思っているはずの地球や宇宙も,自然科学の目で見ると実に多様な顔を見せてくれます.この連載では,地球を中心とした様々な対象や現象について,最近の知見をもとに改めて解説します.

(毎月中旬更新予定)

$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$

太陽は,みずから光という形で莫大なエネルギーを放つ天体である.そのエネルギーの源は水素の核融合反応によるもので,アインシュタインの相対性理論で示された “質量とエネルギーの等価原理:$(\t{エネルギー})=(\t{質量})\times(\t{光速})^2$”による.このエネルギーを基にして太陽の内部および大気の構造が形成されるが,そこに生じるさまざまな現象を簡単にまとめておこう.

太陽の内部構造

これまでの恒星に関する理論的研究を通して,その質量や構成元素の存在比などの違いから進化の相違が明らかにされ,またこれによる恒星の内部構造の推定が可能になってきた.この成果から,現在の太陽の放射エネルギー量,太陽の質量と半径,さらに元素の存在比などを適用して最も確からしいと考えられる太陽の内部構造を推定したのが図1である.ここで,$R/R_0$ は太陽半径に対する太陽中心からの距離の比で,また水素含有量は単位体積における水素の質量比である.

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半揚稔雄(はんようとしお) 1947 年,福岡県に生まれる.その後,北海道札幌市にて子供時代を過ごす.小学校 4 年の 10 月に,ソヴィエト連邦 (現在のロシア) が「世界初の人工衛星スプートニク 1 号を打ち上げた」とのニュースに接して,宇宙に興味を覚える.以来,宇宙飛行に関心を寄せ,物理学で理学士となるも,これが高じて防衛大学校,東京大学宇宙航空研究所(現・JAXA宇宙科学研究所)などで一貫して宇宙飛翔力学の研究に携わる.この間に,東京大学から工学博士の学位を授かる.現在,成蹊大学非常勤講師.

著書:『ミッション解析と軌道設計の基礎』(現代数学社,2014 年),『惑星探査機の軌道計算入門 ―― 宇宙飛翔力学への誘い』(日本評論社,2017 年),『入門連続体の力学』(同,2017 年) ,『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) など.