【刑事訴訟法】斎藤司(龍谷大学)ゼミ/【国際法】西平等ゼミ(関西大学)(特集:#ゼミを語ろう)

特集から(法学セミナー)| 2022.10.25
毎月、月刊「法学セミナー」より、特集の一部をご紹介します。

(毎月中旬更新予定)

◆この記事は「法学セミナー」814号(2022年11月号)に掲載されているものです。◆

特集:#ゼミを語ろう

学生同士や教員との距離が近く、特定の科目を少人数で集中的に学べる「ゼミ」。全国各地の大学から、ゼミの魅力を語ります!

――編集部

 

【刑事訴訟法】斎藤司ゼミ(龍谷大学)――ゼミ生が構築する「複線思考」の時間と空間

#ゼミの活動

龍谷大学法学部では、ゼミは2年生後期から開始されます。2年生後期と3年生前期で演習Ⅰ、3年生後期から4年生後期で演習Ⅱが行われます。演習Ⅱ単位認定は卒論の受領・認定が条件となっています。私たちの学年は、これから卒論執筆作業が本格的に始まるところです。ゼミは、学年ごとに分かれて活動します。もうすぐゼミが始まる2年生は16名、私たち3年生は15名、卒論執筆中の4年生の先輩方は16名となっています。ゼミ募集は14名を超えると選考があり(選考は16名まで可能だということです)、選考されたゼミ生の発表の日は緊張したのを覚えています。

斎藤ゼミは、毎週火曜3限と金曜3限に活動しています。今年度前期は、私たち3年生は火曜日、先輩たちが金曜日のゼミで、後期は、私たちは火曜日、後輩たちが金曜日となります。今年度前期は火曜日3限がゼミ、5限が斎藤先生担当の刑事訴訟法Ⅰと、まさに刑訴法一色でした。

定価:税込 1,540円(本体価格 1,400円)

斎藤ゼミは、ゼミ生の主体性を重視したゼミで、役職や授業スケジュール、そして研究テーマもゼミ生が中心となって決めており、私たちの代は主に再審請求事件やえん罪事件の現状と原因をテーマとして調査・研究しています。今年度最初の活動は、数ある事件のなかで興味を持ったものを3~4名のグループで調べ、報告するものでした。具体的には、和歌山カレー事件(再審請求審は大阪高決令和2・3・24裁判所ウェブサイト)、恵庭女子社員殺人事件(再審請求審は札幌地決平成30・3・20裁判所ウェブサイト)、湖東記念病院事件(再審公判は大津地判令和2・3・31裁判所ウェブサイト)、飯塚事件(再審請求審は最決令和3・4・21刑集75巻4号389頁)について、①なぜその事件に興味を持ったのか、②事件の概要、③事件の争点、④事件の問題点、⑤今後の展開、⑥さらに知りたいこと、を中心に調査し、まとめました。斎藤ゼミでは、発表内容だけでなく、発表の仕方やどうしたら分かりやすくなるかにも重点を置いています。このゼミが始まって最初に力を入れたのも、瀧本哲史『2020年6月30日にまたここで会おう』(星海社、2020年)を要約して、「10分で誰でも分かる」ことを目的として、プレゼンをするという活動でした。プレゼン後は先生からフィードバックがなされ、この活動を通して学んだ発表方法は、こうした調べ学習にも活きています。

話をえん罪調査に戻しましょう。先に紹介したグループ発表の後、事件調査は、第2段階に移行しました。第1段階の活動をふまえ、みんなで話し合い、事件に関する問題点を、①取調べと自白、②有罪推定の構造と原因、③科学的証拠と事実認定の3つに分類し、グループを再編して調査を行いました。そして、それぞれの立場から、事件や刑事手続について調査・研究し、ゲストスピーカーもお招きし、その成果も踏まえて、さらに議論しました。現在はそのまとめをしており、後期から始まる演習Ⅱの活動内容を検討しているところです。

これまでの先輩の活動内容を先生にお聞きすると、事件調査の調査以外に、模擬刑事裁判(学内に宣伝して行ったこともあるということです)、刑事事件に関する学生の意識調査、ゼミ内のディベート大会なども行われてきたそうです。どれも魅力的なので、私たちの代でも行いたいと思っていますが……。また、以前は毎年開催されていたものの、一昨年度と昨年度は中止となってしまったインターカレッジの刑事法系討論会のための活動も行われていたそうです。これは龍谷大学だけでなく、立命館大学、甲南大学、近畿大学や熊本大学の刑事法ゼミもお招きして、刑法・刑事訴訟法・刑事政策のいずれかのテーマについて討論し競い合うイベントです。今年度は復活するかもしれないということで、楽しみであると同時に緊張します(斎藤ゼミは上位が多いということでプレッシャーが……)。

課外活動では、ゼミ生の主体性を重視していることから、ゼミ生同士の交流も大切にしています。例年であれば、ゼミ合宿や飲み会などのイベントをよく開催していたということです。特に、お酒が大好きな斎藤先生を中心によく飲み会が開催されていたそうですが、それもコロナ禍でなかなか実現していません。残念です。そんな中でも、感染対策を徹底しながら、ゼミ生主体の企画でレクリエーションを行ったり、夏休みには施設見学を行ったりしています。ゼミ合宿は、この数年実施されていませんが、以前は東京で日弁連や最高裁などへの訪問調査、えん罪事件調査合宿、卒論執筆合宿などが行われてきたということです。また、ゼミの卒業旅行として、ゼミ生と先生とで沖縄旅行に行ったり、なんと先生が留学中のドイツに卒業旅行でゼミ生が押し掛けたという伝説もあります。

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