(第10回)電車に乗れなくなってしまうパニック症や、心がひどく傷つく体験のあとに悪夢やフラッシュバックに悩まされているわが子に、薬は効果があるのでしょうか?

子どもの心のお薬Q&A(岡田俊)| 2022.07.04
子どもが病院や診療所で心の薬による治療を薦められることは決して稀ではありません。子どもだって心が病むときも、その回復に支えが必要なこともあるのです。安易な薬物療法は望ましくありませんが、一律に避けてしまうというのも子どものためになりません。子どもの精神科薬物療法について、できるだけわかりやすくQ&Aでお伝えします。

(毎月上旬更新予定)

Q 「うちの娘は電車を使って学校に通っているのですが、心臓がバクバクするといって電車に乗れなくなりました。普通電車だとかろうじて乗ることができるようです。電車に乗る前に薬を飲ませたほうがよいでしょうか?」

特に理由もなく、心臓がバクバクしてきたり、めまい、発汗、息苦しさ、吐き気、手足の震えが起こり、そのために死んでしまうのではないかという恐怖に圧倒され、さいなまれるという症状を「パニック発作」と言います。パニック発作は、電車やエレベーターのなかなど、そこからただちに逃れられない状況で起こることが多いものです。そして、そのような不安になる場所に行けなくなったり、またパニック発作が起きるのではないかという不安(予期不安)に悩まされてしまいます。

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岡田 俊(おかだ・たかし)
精神科・児童精神科医師。1997年京都大学医学部卒業。同附属病院精神科神経科、デイケア診療部などの勤務を経て、2011年より名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科、2020年より国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所に勤務。