福島原発事故賠償訴訟 最高裁小法廷決定の見方 :最高裁令和4年3月2日、同7日、 同30日決定の意味するもの(吉村良一)

判例時評(法律時報)| 2022.06.02
一つの判決が、時に大きな社会的関心を呼び、議論の転機をもたらすことがあります。この「判例時評」はそうした注目すべき重要判決を取り上げ、専門家が解説をする「法律時評」の姉妹企画です。
月刊「法律時報」より掲載。

(不定期更新)

◆この記事は「法律時報」94巻6号(2022年6月号)に掲載されているものです。◆

 最高裁令和4年3月2日、同7日、 同30日決定

1 高裁判決の確定

最高裁は2022年3月2、7、30日に、福島原発事故賠償集団訴訟における7つの高裁判決に関する原・被告の上告および上告受理に対する判断を示した(国の責任も問題となっている生業訴訟・千葉訴訟・群馬訴訟・愛媛訴訟については第2小法廷、東京電力(東電)の責任のみが問われた避難者訴訟・小高に生きる訴訟・中通り訴訟については第3小法廷)。そのうち、国の責任については、高裁の判断が分かれていたこともあり、上告が受理され、4ないし5月に弁論が開かれることになった。これに対し、東電の責任部分については、上告・上告受理申立がしりぞけられ、高裁判決が確定した。以下、本稿では、後者に絞って、高裁判決が確定したことの意味を考えてみたい。

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