「成年」・「未成年」の意義と若年成年者の保護:成年年齢引き下げを機縁として(山本敬三)

法律時評(法律時報)| 2022.04.05
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」94巻4号(2022年4月号)に掲載されているものです。◆

Ⅰ はじめに

2018年に、成年年齢を20歳から18歳とする民法の改正案が成立し、本年2022年4月より施行される。これにより、18歳から20歳までの若年成年者について、未成年者取消権が認められなくなることから、消費者被害が拡大することを懸念し、特別な手当てを求める声が強い1)。改正にあたっても、参議院法務委員会において、消費者契約法等を見直すことにより、必要な措置を講ずることを求める附帯決議が行われていた2)。しかし、その一方で、若年成年者を特別に保護することは、若年成年者を「成年者」とすることと相容れないのではないかという声もある。ここではまず前提として、ある年代の者を「成年」とすること─「未成年」としないこと─とそれらの者を保護する必要があることとの関係ないし整合性を確認する必要がある。

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脚注   [ + ]

1. 河上正二「成年年齢の引下げと若年消費者保護について」法律時報89巻2号(2017年)1頁、大澤彩「年齢と取引─若年者をめぐる契約法・消費者法の立法的課題」廣瀬久和先生古稀記念『人間の尊厳と法の役割─民法・消費者法を超えて』(信山社、2018年)363頁、後藤巻則「民法成年年齢引下げの意義と課題─財産法を中心に」法の支配196号(2020年)74頁以下、山城一真「脆弱な消費者と行為能力」現代消費者法53号(2021年)30頁等。
2. 参議院法務委員会「民法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(2018年6月12日)【PDF】」を参照。