(第11回)「持ち場」を通して考える

みんなのストレス波乗り術(竹田伸也)| 2021.07.21
ストレスをなくそうとするのではなく、しなやかに対処する。海に浮かぶ発泡スチロールの船のように、大波にあらがうのではなく、波に乗って飄々とやりすごす。“波乗り”こそ、ストレスとつきあう一番の方法です。“みんな”のこころを楽にするストレスの波乗り術を、臨床心理学を用いてやさしくお伝えします。

(毎月下旬更新予定)

人間関係の悩み

それは、あるカフェでの出来事です。大好きなココアを飲みながら、お気に入りの作家の本を存分に楽しんだ僕は、会計をしようとレジに向かいました。すると、レジにはふたりの客がいて、どちらが払うかでワチャワチャしていたのです。

「ここは私が」「いいえ、あたしのほうで」「なにをおっしゃいますか、私が」「いつもお世話になっているので、あたしに払わせてください」。こうしたやりとりがずっと続いているんです。のんびり屋の僕も、だんだんイライラしてきて、「だったら僕が!」と二人分まとめて払おうかと思ったほどです。そしたら、ダチョウ倶楽部みたいに「どうぞどうぞ」ってなったのでしょうか(笑)。結局、僕にはそんな甲斐性もないので、ただ黙ってふたりのやりとりを見ていたのでした。

実は、このカフェでの出来事が、人間関係の悩みを解きほぐすヒントを届けてくれるんです。今回は、人間関係の悩みについてのストレス波乗り術をお話ししてみようと思います。

そのまえに、あなたに思い返してほしいことがあります。最近、人間関係で嫌な思いをしたことはありませんか? 最近のことで思い出せなければ、ずっと昔のことでもかまいません。そのとき、どうして嫌な思いがしたのでしょう。そのことを振り返ってみてください。そして、もしよければそれを紙に書き出してみてください。

振り返ることができたら、このさきの話におつきあいくださいね。紙に書き出してくださった人は、それはあとで使いますので脇に置いといてください。

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竹田伸也(たけだ・しんや)
鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学専攻教授。専門は、臨床心理学、認知行動療法。「生きづらさを抱えた人が生まれてきてよかったと思える社会の実現」をコンパスとして、その方向にそって自分にできることを進めている。最近は、自分のもつ弱さをかわいく思える技の開発に励んでいる。著書に、『マイナス思考と上手につきあう認知療法トレーニング・ブック』(遠見書房)、『対人援助職に効くストレスマネジメント』(中央法規出版)など。