『いやな気持ちは大事な気持ち』(作:大河原美以・絵:山本実玖)

一冊散策| 2021.04.02
新刊を中心に,小社刊行の本を毎月いくつか紹介します.

 

 

イントロダクション

怒りをコントロールできず、友達に暴力をふるってしまった小学2年生の男の子レン、普段はよい子なのに、いじめをしてしまった中学1年生の女の子カスミ、彼らに「いやな気持ち(不快感情)」の扱い方を教えるにはどうすればいいでしょうか?

困っている2人のところに妖精さんがやってきて、「いやな気持ちは大事な気持ち」であることを丁寧に教えてくれます。

解説

本書は、スクールカウンセラーや教師・保護者が子どもを導くための教材です。「いやな気持ちは大事な気持ち」であることを深く理解している大人が、子どもたちといっしょに読むことで、子ども自身が「いやな気持ちはあってもいいんだ」と思えるようになること、それが本書に込めた願いです。

レンとカスミは教育熱心な両親のもと、大事に育てられている子どもたちです。お母さんとお父さんは、子どもたちを「よい子」に育てることに一生懸命のため、「泣いたりぐずったりせずに、常にがまんすべきだ」と考える傾向が、強かったかもしれません。

そんな両親にとって、レンが学校で「死ね!」と叫びながら、友達を鉛筆で刺そうとしてしまったという出来事は、許しがたいことです。親としての自信を失ってしまうほどの衝撃的な出来事でもあるでしょう。そんな時「どうすればいいの?」という疑問に答えてくれるのが、“妖精さん”です。

「いやな気持ち(不快感情)」をもってはいけないと思い込んでいる子どもたちは、自分が困っていて悲しい気持ちでいっぱいになった時にも、その「悲しい気持ち」に気づくことができません。レンのように、「怒り」「イライラ」が「悲しい気持ち」を覆い隠すかのように、瞬時に飛びだしてきてしまいます。

このような時、カスミが言うように「そうだとしても、鉛筆で刺すというような行為は許されるものではない」ので「叱責が必要」と考えるのが大人の常識です。ところが、叱責を重ねるとどんどん悪循環になって、さらに手におえない状態に深刻化してしまうのが現実です。多くの保護者や教師が、その悪循環の中で苦しんでいることと思います。その悪循環を止めたいという思いで、本書を作りました。子どものこころの中で起こっていることをきちんと正しく理解することにより、解決をはかるためです。……

▼続きはぜひ本書でご覧ください!

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