「しょうがないな、いいですよ」:精神科訪問診療(青木藍)

こころの現場からセレクト(こころの科学)| 2021.02.17
心理臨床、医療、教育、福祉、司法など、対人援助にはさまざまな「現場」があります。「こころの現場から」は、そうした臨床現場の風景をエッセイという形で紹介するコーナーです。雑誌「こころの科学」にこれまで掲載されたもののなかから、こころの科学編集部がいま届けたい記事をセレクトして転載します。

(奇数月下旬更新予定)

◆この記事は「こころの科学」213号(2020年9月)に掲載されたものです。◆

はじめに

外来診療では、患者さんが来なくなれば治療関係は終了する場合がほとんどだ。しかし、訪問診療では、なんらかの事情で、患者さんが支援を拒絶しながらもしぶしぶ受け入れるという状況が時々発生する。そのような場合、支援者がかかわり続けることで、患者さんの中に「この人の言うことを聞いてみるか」という気持ちが湧き、拒絶が和らいで、次の治療ステージに進めるということを経験してきた。今回はそのような事例を紹介したい。

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