(第10回)コロナ禍の長期化が迫る政策の重点シフト(伊藤さゆり)
コロナ危機とEUの行方| 2020.10.23

欧州で新型コロナの感染が再加速しており、スペイン、フランス、英国など次々と行動制限の再強化を打ち出している。各国は、感染状況に応じて地域毎に段階の異なる制限を導入することなどで、なんとか春先のような全土ロックダウン (都市封鎖) を回避しようとしているが状況は厳しい。1〜3 月期前期比年率マイナス 14.1%、4〜6 月期同マイナス 39.4%と大きく落ち込んだ EU 経済は、7〜9 月はいったん大きくプラス成長に振れる見込みだが、10〜12 月期に、早くも息切れしそうな雲行きになってきた。
深い落ち込みを短期間で回復する V 字型の景気回復が難しくなったことは、コロナ危機が債務危機、金融危機に発展するリスクが高まりつつあることを意味する。
