(第7回)コロナ危機下のブレグジット交渉について(吉田健一郎)

コロナ危機とEUの行方| 2020.09.11
2020年に入って突如世界を席巻し始めた新型コロナウイルス感染症は,2020年3月11日にはWHOによってパンデミック宣言され,依然として予断を許さない状況が続いています.このコラムでは,さまざまな立場のEU研究者が,「コロナ危機下のヨーロッパ」がどう動くのか,どこへ向かうのかについて読み解いていきます.(全12回の予定)

英国はコロナ危機で大きな打撃

英国の 4〜6 月期実質 GDP 成長率は、前期比 ▲10.2%という記録的なマイナス成長になった。新型コロナウイルスの感染拡大とその後の都市封鎖措置が、マイナス成長となった理由である。ウイルスの再感染リスクが残る中で、英経済の先行きには大きな不確実性が伴っている。英財務省の集計では、在英エコノミストによる 8 月時点での 2020 年の GDP 成長率見通しは、▲ 14.2%〜▲ 6.6%と大きなばらつきがある。

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吉田健一郎(よしだ・けんいちろう)
みずほ総合研究所欧米調査部上席主任エコノミスト。
1972 年東京都生まれ。96 年一橋大学商学部卒、富士銀行 (現みずほ銀行) に入行。対顧客為替ディーラーなどを経て 2004 年にみずほ総合研究所へ出向。08 年 9 月からロンドン事務所長。14 年 10 月から現職。ロンドン大学修士 (経済学)。著書に『Brexit ショック企業の選択 --- 世紀の誤算のインパクト』(日本経済新聞出版社、2016 年)、『EU は危機を超えられるか --- 統合と分裂の相克』(NTT 出版、2016 年、共著) など。