緊急支援のこころもち:スクールカウンセリング(東千冬)

こころの現場からセレクト(こころの科学)| 2020.01.24
心理臨床、医療、教育、福祉、司法など、対人援助にはさまざまな「現場」があります。「こころの現場から」は、そうした臨床現場の風景をエッセイという形で紹介するコーナーです。雑誌「こころの科学」にこれまで掲載されたもののなかから、こころの科学編集部がいま届けたい記事をセレクトして転載します。

(奇数月下旬更新予定)

◆この記事は「こころの科学」183号(2015年9月)に掲載されたものです。◆

私の車がその学校の裏門に入ろうと指示器を出すと、後方の正門付近からものものしく報道陣がカメラを持って、私の車をめがけてドドーッと走ってきた。まるで自分が何か大きなことをやらかしたか、芸能人にでもなったかのような錯覚に陥りそうであった。

警察の黄色い規制線をくぐり、ただごとではない空気を感じながら校舎に入ると、カサブランカのツンとした匂いが鼻をついた。「緊急支援にきました、臨床心理士の東です」と伝え、通された部屋ではすでに数人の精神科医や臨床心理士が、慌ただしくそれでいて静かに電話したり話し合ったりしていた。さすがに緊急支援に長けた達人の方々は凛として、たじろがず任務にあたっておられる。

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