(第10回)被告人の証言―弁護人の主尋問

渋谷重蔵は冤罪か?―19世紀、アメリカで電気椅子にかけられた日本人(村井敏邦)| 2019.06.27
日本開国から24年、明治の華やかな文明開化の裏側で、電気椅子の露と消えた男がいた。それはどんな事件だったのか。「ジュージロ」の法廷での主張は。当時の日本政府の対応は。ニューヨーク州公文書館に残る裁判資料を読み解きながら、かの地で電気椅子で処刑された日本人「渋谷重蔵」の事件と裁判がいま明らかになる。

(毎月下旬更新予定)

検察官側の立証が終了して、弁護側の立証段階に入り、被告人が証言台に立った。前にも述べたように、日本では被告人には証人適格がなく、被告人が法廷で陳述する際には、被告人質問という形がとられる。被告人質問で述べたことは証拠となるが、偽証罪の適用はない。これに対して、英米では、被告人も証言台に立ち、証言する。この事件でも、被告人の渋谷重蔵は弁護側証人として証言した。

被告人渋谷重蔵は当時35歳で、ニューヨークにはじめて来て、榎本の船員宿に約30日で事件が発生し、その後、数日間は留置場生活だったと述べた。

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