(第5回)唯一の物的証拠である陰毛のすり替え―鹿児島の夫婦殺し事件

捜査官! その行為は違法です。(木谷明)| 2019.01.17
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。

(毎月中旬更新予定)

鹿児島の夫婦殺し事件

―最判昭和57年1月28日刑集36巻1号67頁

最高裁判所は、夫婦殺し事件について被告人を有罪と認めた控訴審判決に事実誤認の疑いがあるとして破棄・差戻しの判決をした。破棄の理由は、唯一の物的証拠(被害者の陰部から採取されたという陰毛)が警察によってすり替えられた疑いがあるという衝撃的なものだった。

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