(第4回)ミスド、スタバ、コメダの距離感

プロ精神科医あるあるノート(兼本浩祐)| 2024.05.16
外来のバックヤード、あるいは飲み会などフォーマルでない場で、臨床のできる精神科医と話していると、ある共通した認識を備えていると感じることがあります。こうした「プロの精神科医」ならではの「あるある」、言い換えれば教科書には載らないような暗黙知(あるいは逆に認識フレームの罠という場合もあるかもしれません)を臨床風景からあぶり出し、スケッチしていくつもりです。

(毎月中旬更新予定)

蝶に好みの花があるように

蝶というのはかなり厳格に特定の花をターゲットにして蜜を吸うのだという話を聞いたことがあります。たとえばモンシロ蝶はタンポポが好きで、アゲハ蝶はヒガンバナ。ちょっと似合いすぎていてびっくりですが、チェーン店のカフェにも、そのカフェに特有の客層があります。

私の20年来の友人に古橋忠晃先生という方がいるのですが、文章を書いたり調べものをしたりするときに、ともかくもカフェでやるのが彼も私も定番で、どこのカフェには電源があってどこのカフェではネットができるのかを、電源がほとんどのカフェで使用できなかった時期からおたがいに驚くほど知っており、情報交換するたびに確認しあってびっくりしていました。スタバに関しては(これはちょっとした自慢なのですが)世界中の色々なスタバを経験してみました。スタバ発祥の地シアトルにも行きましたが、日本ほどめちゃくちゃに人が鈴なりになっている国は他にありません。

今回は、そうしたカフェのヘビーユーザーとして、それぞれのチェーン店には固有の対人距離感がある、という話から始めてみたいと思います。

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兼本浩祐(かねもと・こうすけ)
中部PNESリサーチセンター所長。愛知医科大学精神神経科前教授。京都大学医学部卒業。専門は精神病理学、臨床てんかん学。『てんかん学ハンドブック』第4版、『精神科医はそのときどう考えるか』(共に医学書院)、『普通という異常』(講談社現代新書)など著書多数。