(第8回)僕ver.2.0――児童ポルノ製造

ただいま調査中! 家庭裁判所事件案内(高島聡子)| 2024.05.02
2024年度前期朝ドラ『虎に翼』のモデルとなった三淵嘉子が、その設立に関わることになる家庭裁判所。戦後まもなく産声を上げた、社会的弱者のための裁判所では、令和の今、どんなことが起きているのでしょうか? そして「家庭裁判所調査官」とは、どんなお仕事?
普段は手続非公開のベールに隠れている“中の人”が、リアルな現場の点景をお伝えします。
(事件はすべて、家裁に係属する事件の特徴を踏まえて創作した架空のものです)

(毎月上旬更新予定)

手のひらの犯罪

「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反保護事件」。家裁ではこれを「児ポ」と略す。

私はどちらかと言えば、家事事件の担当が長い調査官だ。数年前、久しぶりに少年事件を担当した時に一番面食らった事件が、この児ポだった。記録にはあられもない姿の画像が遠慮なく添付されていて開くたびに気恥ずかしくなるし、同じ事件名でもさまざまなパターンがあって評価が難しい。

友達同士、あるいは交際相手同士の間柄で写真を撮ったり、送り合ったりするパターン。友達同士のふざけレベルから、はっきりといじめの色合いを帯びた事案もあり、撮影時には交際相手であった間柄が、別れを経てリベンジポルノ的なやりとりに発展したものもある。

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高島聡子(たかしま・さとこ)
神戸家庭裁判所姫路支部総括主任家庭裁判所調査官。
1969年生まれ。大阪大学法学部法学科卒業。名古屋家裁、福岡家裁小倉支部、大阪家裁、東京家裁、神戸家裁伊丹支部、京都家裁、広島家裁などの勤務を経て2023年から現職。現在は少年、家事事件双方を兼務で担当。
訳書に『だいじょうぶ! 親の離婚』(共訳、日本評論社、2015年)がある。