(第24回:終)人類は奇跡の産物? —幸運の連鎖の末に

地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2024.04.19
お馴染だと思っているはずの地球や宇宙も,自然科学の目で見ると実に多様な顔を見せてくれます.この連載では,地球を中心とした様々な対象や現象について,最近の知見をもとに改めて解説します.

(毎月中旬更新予定)

天の川銀河では,これまで数千個に上る系外惑星が発見され,その中の幾つかには生命が宿されているであろうと考えられている.しかし,人類のような知的文明を有する生命体が発生するには特異な出来事の連鎖が必要であったことが次第に明らかになってきた.その一つの根拠に,天の川銀河の歴史の中で太陽系が出現した時と場所が挙げられ,これは生命にとって幸運とも言えるものであった.加えて,地球は幾つかの稀な特徴を備えており,地球上の生命体の進化を促した条件が,他の場所には存在しなかった可能性がある.

ここでは,人類発生の要件とは如何なるものなのか? を探ることで,このシリーズの締めくくりとしたい.

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半揚稔雄(はんようとしお) 1947 年,福岡県に生まれる.その後,北海道札幌市にて子供時代を過ごす.小学校 4 年の 10 月に,ソヴィエト連邦 (現在のロシア) が「世界初の人工衛星スプートニク 1 号を打ち上げた」とのニュースに接して,宇宙に興味を覚える.以来,宇宙飛行に関心を寄せ,物理学で理学士となるも,これが高じて防衛大学校,東京大学宇宙航空研究所 (現・JAXA宇宙科学研究所) などで一貫して宇宙飛翔力学の研究に携わる.この間に,東京大学から工学博士の学位を授かる.

著書:『ミッション解析と軌道計の基礎』(現代数学社,2014 年),『入門連続体の力学』(日本評論社,2017 年),『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) ,『惑星探査機の軌道計算入門 (改訂版)―― 宇宙飛翔力学への誘い』(同,2023 年)など.