コロナ禍と食への関心の変化

海外論文サーベイ(経済セミナー)| 2023.07.28
 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です.

(奇数月下旬更新予定)

Gligorić, K., Chiolero, A., Kıcıman, E., White, R. W. and West, R. (2022) “Population-Scale Dietary Interests during the COVID-19 Pandemic,” Nature Communications, 13, 1073.$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}\def\bi#1{\boldsymbol{#1}}$

松井暉

「生きるために食べよ、食べるために生きるな」という名言があるように、人類は食を追い求めさまざまな料理や調理法を開発してきた。そしてこの探求のバトンは現代に生きる私たちに受け継がれている。今回紹介する論文は、コロナ禍における食への関心の変化を、多国間比較した論文である。

人々の関心を観測するには?

人々の関心の変化はどう観測できるのだろうか。よく用いられるのが、インターネットのデータを利用する方法である。たとえば、SNS のデータを使えば、感情分析や話題の移り変わりを分析することができる。しかし、SNS の投稿はあくまでもユーザーの自発的な発信なので代表性が犠牲になる。SNS のデータが取得可能であったとしても、必ずしもそのプラットフォームに投稿されたすべてのデータが取得できるわけではない。たとえば、ツイートデータは Twitter の運営会社が提供する API 経由で取得できるが、ある時点の Twitter プラットフォームすべてのツイートを取得できるわけではない1)。また、削除された投稿や非公開設定の投稿を取得できない問題もある。

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脚注   [ + ]

1. Twitter は研究用の Academic API などを提供しているが、サービスの停止と API の有償化がアナウンスされている。詳しくは Twitter の「Developer Platform」のウェブサイト (https://developer.twitter.com/en) を参照。