(第20回・最終回)日本戦後史のなかの沖縄―復帰運動にみる同化と抵抗(戸邉秀明)

おさらい日本の近現代史―「日本」と東アジアの関係を読み解くために| 2023.03.23
日本の近代・現代とはどのようなものだったのでしょうか。
私たちが今、日々ニュースで接する日本の社会状況や外交政策を、そのような歴史的視点で捉えると、いろいろなものが見えてきます。
この連載では、「日本」と東アジア諸国との関係を中心に、各時代の象徴的な事件などを取り上げ、さまざまな資料の分析はもちろん、過去の事実を多面的に捉えようとする歴史研究の蓄積をふまえて解説していただきます。
現在の日本を作り上げた日本の近現代史を、もう一度おさらいしてみませんか。

(毎月下旬更新予定)

前回は、近代の日本に組み込まれた沖縄が、どのような差別と同化の歴史を経験したかをたどりました。その歴史は、日本が民族差別の序列を深く内蔵した植民地帝国だったことの反映でした。そこで沖縄の人びとは、差別の被害者であると同時に加害者にもなりうる複雑な位置に立たされました。それによって受けた苦しみが、沖縄戦における住民虐殺や集団自決等の惨劇へとつながったことは、前回の最後に見た通りです。

しかも沖縄の苦難は、これで終わりません。地上戦の末、米国によって日本から切り離され、軍事占領が27年続きました。昨年(2022年)話題にのぼった「復帰50年」とは、半世紀前の1972年にこの占領が終わり、施政権(事実上の主権)が米国から日本に返還されたことを意味します。

こうしてみると、いま沖縄が日本の一県であると誰も疑わずにいることが、かえって不思議に思えてきます。「もともと日本なんだから戻ってきたのは当然」という理屈は成り立ちません。それは前回お話ししたように、かつての独立国・琉球の存在ではっきりしています。では沖縄はどのようにして、再び日本となったのでしょうか。前回に引き続き、人びとの葛藤に着目しながら、米軍統治下の体験を追いかけてみましょう。

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戸邉秀明(とべ・ひであき)
東京経済大学全学共通教育センター教授。専門は沖縄近現代史、特に戦時期の「方言論争」や、戦後の在本土沖縄県人の組織化、米軍占領期における学校教員を中心とする復帰運動の研究などを進めている。
主著に、『触発する歴史学──鹿野思想史に向き合う』(共編著、日本経済評論社、2017年)、『記憶と認識の中のアジア・太平洋戦争──岩波講座アジア・太平洋戦争戦後篇』(共著、岩波書店、2015年)、『沖縄学入門』(共著、昭和堂、2010年)、『近代日本の「他者」と向き合う』共著、解放出版社、2010年)など。