(第9回)太陽の黒点

地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2023.01.16
お馴染だと思っているはずの地球や宇宙も,自然科学の目で見ると実に多様な顔を見せてくれます.この連載では,地球を中心とした様々な対象や現象について,最近の知見をもとに改めて解説します.

(毎月中旬更新予定)

$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$

 

太陽面にあらわれる黒い斑点は黒点と呼ばれるが,その変化をさまざまな観点から捉えると太陽活動の周期性が見えてくる.さらに,その要因を探ることから太陽の内部構造が解き明かされて,より緻密な太陽そのものの理解が得られるようになる.そこから精巧な太陽モデルを構築すれば将来の太陽活動が予見され,地球環境への影響が見通せるようになって,宇宙天気予報の精度向上の一助となることが期待される.

黒点と磁場

黒点の発見は,$17$ 世紀の科学者ガリレオ・ガリレイまで遡る.彼は黒点の変化を克明に記録し,そこから約 $27$ 日周期で出現することを見出した.また,$19$ 世紀にドイツのシュワーベは,黒点の増減が約 $11$ 年周期で繰り返されることを発見している.

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半揚稔雄(はんようとしお) 1947 年,福岡県に生まれる.その後,北海道札幌市にて子供時代を過ごす.小学校 4 年の 10 月に,ソヴィエト連邦 (現在のロシア) が「世界初の人工衛星スプートニク 1 号を打ち上げた」とのニュースに接して,宇宙に興味を覚える.以来,宇宙飛行に関心を寄せ,物理学で理学士となるも,これが高じて防衛大学校,東京大学宇宙航空研究所(現・JAXA宇宙科学研究所)などで一貫して宇宙飛翔力学の研究に携わる.この間に,東京大学から工学博士の学位を授かる.現在,成蹊大学非常勤講師.

著書:『ミッション解析と軌道設計の基礎』(現代数学社,2014 年),『惑星探査機の軌道計算入門 ―― 宇宙飛翔力学への誘い』(日本評論社,2017 年),『入門連続体の力学』(同,2017 年) ,『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) など.