(第2回)日本と世界の子どものこころのケア
紛争・災害と子どものこころのケア――世界の精神保健の現場から(田中英三郎)| 2022.11.02

(毎月上旬更新予定)
前回は「生と死の境目(トラウマ体験)が私たちの日常と隣り合わせにある」ということをお話ししました。さて、この事実は子どもたちにも当てはまるのでしょうか。
今回は「子どものトラウマ」をテーマに扱った天童荒太氏の小説『永遠の仔』(幻冬舎、1999)を紹介するところからはじめます。この物語には、虐待を受けた3人の少年少女が登場します。彼ら彼女らは児童虐待のためにこころを病み、四国にある児童精神科病院で一時期生活をともにしました。その後、成人し再会を果たしたところからこの物語ははじまり、さまざまな事件に巻き込まれていきます。

2001年愛媛大学医学部を卒業、精神科医師。ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)等で社会疫学を研究、公衆衛生学修士、博士(医学)。国立国際医療研究センター、国境なき医師団、都立梅ヶ丘病院、兵庫県こころのケアセンター等を経て、2021年よりJICAヨルダン事務所・ヨルダン保健省精神保健政策アドバイザーを務めている。