(第6回)イオの火山と木星のオーロラ
地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2022.10.12

(毎月中旬更新予定)
$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$
これまで $3$ 回にわたって地球の極地を彩るオーロラについて述べてみたが,地球以外でも,大気と磁場をもつ木星の極域にもオーロラが発生することが知られている.今回は,地球から離れて,その一味違う成り立ちについて見ておこう.
イオの火山
イオは木星の近傍を周回するガリレオ衛星と呼ばれる比較的大きな四つの衛星の一つで,半径 $1821.3\,\t{km}$ (月:半径 $1738\,\t{km}$ と同程度の大きさ) ,自転・公転周期 $1.77$ 日の天体 ($1:1$ の力学的共鳴状態) である.$1979$ 年 $3$ 月 $5$ 日にボイジャー $1$ 号が通過した際に,地球以外の天体では初めて活発に活動する火山が発見され (図1),噴出物は高度約 $260\,\t{km}$ まで達していることがわかっている.
イオからの噴出物は $1$ ミクロン程度の二酸化硫黄の粒子が主体となっており,超高層に達するものは太陽からの紫外線を受けて硫黄と酸素の $3$ 価の陽イオンと電子に電離した気体になっている.イオの表面はその気体に覆われていて,電離層を形成していると見られる.

著書:『ミッション解析と軌道設計の基礎』(現代数学社,2014 年),『惑星探査機の軌道計算入門 ―― 宇宙飛翔力学への誘い』(日本評論社,2017 年),『入門連続体の力学』(同,2017 年) ,『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) など.