(第4回)オーロラの色とその動態

地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2022.08.12
お馴染だと思っているはずの地球や宇宙も,自然科学の目で見ると実に多様な顔を見せてくれます.この連載では,地球を中心とした様々な対象や現象について,最近の知見をもとに改めて解説します.

(毎月中旬更新予定)

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極北の夜空にうごめく奇怪な光,オーロラの光の色がなぜ緑や赤,そして時にはピンクといった色だけなのか? また,オーロラが発生すると,はじめは穏やかであったものが,次第にカーテンが風にたなびくように揺らめきだし,突然明るさを増しながら激しく変化する様子が観られたのち,次第に終息してオーロラは最初の穏やかな状況に戻っていく.今回は,オーロラの色とその動態について述べてみよう.

オーロラの光の発生機構と色合いの違い

原子の構造は,高校の物理で学んだボーアの水素原子の理論により,中心に原子核があり,その周囲を電子がある規則性をもって運動しているというモデルで考えることができる(図1).水素原子の場合,電子は 1 個であるから,図1で原子核に最も近い $n=1$ の軌道に電子が位置するとき,原子としてのエネルギーは最も低い安定な状態で,基底状態と呼ばれる.これに対して,電子が $n=2$ 以上の軌道に位置するときは励起状態と呼ばれ,原子としては不安定な状態にある.

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半揚稔雄(はんようとしお) 1947 年,福岡県に生まれる.その後,北海道札幌市にて子供時代を過ごす.小学校 4 年の 10 月に,ソヴィエト連邦 (現在のロシア) が「世界初の人工衛星スプートニク 1 号を打ち上げた」とのニュースに接して,宇宙に興味を覚える.以来,宇宙飛行に関心を寄せ,物理学で理学士となるも,これが高じて防衛大学校,東京大学宇宙航空研究所(現・JAXA宇宙科学研究所)などで一貫して宇宙飛翔力学の研究に携わる.この間に,東京大学から工学博士の学位を授かる.現在,成蹊大学非常勤講師.

著書:『ミッション解析と軌道設計の基礎』(現代数学社,2014 年),『惑星探査機の軌道計算入門 ―― 宇宙飛翔力学への誘い』(日本評論社,2017 年),『入門連続体の力学』(同,2017 年) ,『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) など.