(第12回・最終回)子どものことばかり考えてきましたが、治療が必要なのは親の自分のほうかもしれません。薬を服用してよいでしょうか?

子どもの心のお薬Q&A(岡田俊)| 2022.09.02
子どもが病院や診療所で心の薬による治療を薦められることは決して稀ではありません。子どもだって心が病むときも、その回復に支えが必要なこともあるのです。安易な薬物療法は望ましくありませんが、一律に避けてしまうというのも子どものためになりません。子どもの精神科薬物療法について、できるだけわかりやすくQ&Aでお伝えします。

(毎月上旬更新予定)

Q 最初は子どものことばかりを考えてきましたが、ふと治療を受けないといけないのは私のほうではないかと思い始めました。私もお薬を服用してよいでしょうか?

そのような思いに至った経緯はどのようなものでしょうか。たとえば、お子さんが注意欠如・多動症(ADHD)の治療を受けていて、ADHDについて理解を深めていくうちに、自分自身にもその特性があると気づくということがあります。実際、親子ですから、親御さんにも同様の傾向があることはあるものです。ただ、ここで注意しなければならないのは、ADHDの診断に用いられる個々のエピソードは、ADHDの方にのみ見られるエピソードではなく、診断に該当するか否かは程度の差である、ということです。親御さんが今振り返ると、たしかに思い当たることがあったとしても、その当時に、それが大きな悩みごとになる程度ではなかったとすれば、診断されるレベルではない可能性もあります。逆に、当時から悩みを抱えていて、今も同様の悩みを抱えているのであれば、診察を受けて必要に応じて治療を受けるのも有益です。

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岡田 俊(おかだ・たかし)
精神科・児童精神科医師。1997年京都大学医学部卒業。同附属病院精神科神経科、デイケア診療部などの勤務を経て、2011年より名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科、2020年より国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所に勤務。