(第11回)日本近代史のなかの「満洲」(加藤聖文)

おさらい日本の近現代史―「日本」と東アジアの関係を読み解くために| 2022.06.20
日本の近代・現代とはどのようなものだったのでしょうか。
私たちが今、日々ニュースで接する日本の社会状況や外交政策を、そのような歴史的視点で捉えると、いろいろなものが見えてきます。
この連載では、「日本」と東アジア諸国との関係を中心に、各時代の象徴的な事件などを取り上げ、さまざまな資料の分析はもちろん、過去の事実を多面的に捉えようとする歴史研究の蓄積をふまえて解説していただきます。
現在の日本を作り上げた日本の近現代史を、もう一度おさらいしてみませんか。

(毎月下旬更新予定)

日本の20世紀の歴史は満洲を抜きに語ることはできません。日中関係をはじめとする国際関係は当然として、日本国内でも政治・経済・社会のあらゆる方面に影響を与えました。1931年に起きた満洲事変はそれを象徴する出来事です。

しかし、現在の日本では、歴史を考える際に満洲のことはほとんど視野の外にあります。なんとなく外国の話であって、日本史ではなく中国史で扱うものだと思われていないでしょうか。日本の近代史は、現在の日本国の範囲で考えるものではなく、当時の大日本帝国の範囲で考えなければ歴史の実像は浮かび上がってきません。

とはいえ、大日本帝国時代の日本人が満洲をどこまで身近なものと捉え、どれほど理解していたかは別です。残念ながらほとんどの日本人は「よくわからなかった」というのが正直なところでしょう。

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加藤聖文(かとう・きよふみ)
歴史学者。国文学研究資料館・総合研究大学院大学准教授、専門は日本近現代史・東アジア国際関係史・歴史記録(アーカイブズ)学。
主著に、『海外引揚の研究-忘却された「大日本帝国」』(岩波書店、2020年、第43回角川源義賞[歴史研究部門]受賞)、『満鉄全史-「国策会社」の全貌』(講談社学術文庫、2019年)、『国民国家と戦争-挫折の日本近代史』(角川選書、2017年)、『満蒙開拓団-虚妄の「日満一体」』(岩波全書、2017年)、『「大日本帝国」崩壊-東アジアの1945年』(中公新書、2009年)など多数。