(第5回)自閉スペクトラム症のわが子に、チックのような症状や寝付きに問題があるとき、薬は効果がありますか?

子どもの心のお薬Q&A(岡田俊)| 2022.02.04
子どもが病院や診療所で心の薬による治療を薦められることは決して稀ではありません。子どもだって心が病むときも、その回復に支えが必要なこともあるのです。安易な薬物療法は望ましくありませんが、一律に避けてしまうというのも子どものためになりません。子どもの精神科薬物療法について、できるだけわかりやすくQ&Aでお伝えします。

(毎月上旬更新予定)

Q 「うちの子には、知的障害と自閉スペクトラム症がありますが、顔をくしゃっとしたり、腕で頭をたたいたりします。チックではないでしょうか? 薬に効果がありますか?」

チックというのは、突然、目的なしに体が動いたり声が出たりすることです。パチパチとまばたきしたり、咳払いをするといったことは、とくに小学校低学年ぐらいまでの子どもにはよくあることで、経過を見るだけで、大部分の子どもは落ち着いてしまいます。しかし、目をぎょろっと回したり、上のほうを凝視したり、小鼻をピクッとさせたり、顔をくしゃっとしたり、口をとがらせたり、肩を回す、脇を閉じるように腕を体に打ちつけるといった動き、「うっ」と言ったり、のどをならす、甲高い声を出すといった発声のように、多様で複雑な症状が出てくるケースもあります。

多彩な運動チックと音声チックが1年以上にわたってみられる場合には、「トゥレット症」と呼ばれ、体質的な要素が強く、10歳から15歳頃にもっとも症状が強くなります。

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岡田 俊(おかだ・たかし)
精神科・児童精神科医師。1997年京都大学医学部卒業。同附属病院精神科神経科、デイケア診療部などの勤務を経て、2011年より名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科、2020年より国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所に勤務。