はじめに 法学の世界へようこそ:法解釈学の実践に向けて(大島義則) (特集:法学入門2021――法学者の本棚から学ぶ Part.2)

特集から(法学セミナー)| 2021.11.08
毎月、月刊「法学セミナー」より、特集の一部をご紹介します。

(毎月中旬更新予定)

◆この記事は「法学セミナー」796号(2021年5月号)に掲載されているものです。◆

特集:法学入門2021――法学者の本棚から学ぶ Part.2

みなさんは、なぜ法律学を勉強してみようと思いましたか。

本、ドラマ、人との出会い……そのきっかけは人によってさまざまだと思います。

この特集では、各法律科目の大学教員がすすめる教科書・書籍を繙きながら、法律学の魅力・学び方をお届けします。

ここで紹介されている本が、みなさんにとって「きっかけ」になるかもしれません。

4月号のPart.1とあわせて、法学者の本棚から、法律学のとびらを開いてみませんか?

――編集部

1 はじめに

みなさま、ご入学、ご進学おめでとうございます。そろそろ履修登録の時期に入り、大学から示されたシラバスを見て、これからの大学生活に胸をときめかせている頃でしょう。大学の講義概要が書かれたシラバスを見ると、それほど勉強好きではなくてもワクワクしてしまうのではないでしょうか。そのワクワクこそが、誰しも胸に持っている「知的好奇心」と呼ばれるものです。この「知的好奇心」を原動力にして、どこまで成長できるか、というのは大学生活において非常に重要なことです。上手く自分の「知的好奇心」に水やりして、立派な「知恵の大樹」へと育て上げましょう。大学時代に自分の中にしっかりと「知恵の大樹」さえ育てておけば、あとはそこにどんどん枝葉をつけていくことができます。これに対して、骨太の知識体系が自らの中に備わっていなければ、社会人になってから得られる知識は空へと消え失せていくことにもなりかねません。

「高校までの勉強」とは異なり、「大学からの勉強」では、特定の学問体系を身につけて自ら実践し、批判的思考を養う必要があります。法学部に入学した皆さんが身につけるべき学問体系は、言うまでもなく「法学」です。ひとくちに「法学」といっても様々な意味がありますが、法学部でまず身につけなければならないのは「法解釈学の基礎」です。法学は「法解釈学」に始まり、「法解釈学」で終わると言っても過言ではありません。

冨樫義博による漫画『HUNTER×HUNTER』(集英社、1998年~)に出てくるハンター協会会長アイザック=ネテロは、山に籠って、気を整え⇒拝み・祈り⇒構えて⇒突くという一連の動作から成る「感謝の正拳突き」を1日1万回繰り返し練習することで武の高みに上り詰めます。「法解釈学」、そして「法解釈学」の中核をなすロジックである「法的三段論法」こそ、法学における「感謝の正拳突き」と言えるでしょう。

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