対談:新型コロナ危機を超えて,貿易のあるべき姿を考える(経済セミナー2021年10・11号)

特集から(経済セミナー)| 2021.09.22
経済セミナー』の特集に収録されている対談・鼎談の一部をご紹介します.

(奇数月下旬更新予定)

2020 年から続く新型コロナ危機は、世界中の社会・経済や、国際関係、貿易の姿を大きく変えている。ここではまず、コロナ以前からのグローバリゼーションの動向を整理する。そのうえで、コロナ危機が貿易をどのように変えうるかを議論し、コロナ後も視野にこれからの国際貿易が進むべき道を考える。

1 はじめに

—本日は、新型コロナ危機を経て、これからの国際貿易はどうなるのか、この分野で幅広く研究されてきたお二人の議論を通じて考えていきたいと思います。

伊藤 青山学院大学の伊藤です。私は「企業の国際化」を中心に、企業単位のミクロデータを用いた実証研究に取り組んできました。中でも、R&D (研究開発) やイノベーションの国際化に焦点を当て、企業が海外でのR&D や海外への技術輸出を積極的に行っている要因を、主に企業のデータに基づいて分析してきました。

最近は、特にデジタル経済と貿易との関係に注目しています。電子的な発注や配送が介在する財・サービスの貿易を「デジタル貿易」と呼びますが、この新しい貿易形態には国境を越えた「データ流通」が非常に重要になってきます。まだ分析に耐えうるデータが整備されていない分野でもあるので、企業へのアンケート調査を実施し、財務データと組み合わせることで、どんな特徴を持つ企業がデジタル貿易やデータ流通に積極的なのかを解明すべく研究しています。

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