男女規範は思い込み?

海外論文サーベイ(経済セミナー)| 2021.01.28
 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です.

(奇数月下旬更新予定)

Bursztyn, L., González, A. L. and Yanagizawa-Drott, D.(2020) “Misperceived Social Norms: Women Working Outside the Home in Saudi Arabia,” American Economic Review, 110 (10): 2997-3029.

奥山陽子

$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$

はじめに

男らしさ。女らしさ。男性は仕事。女性は家庭。いつの間にか、どこからともなくやってきたジェンダー規範は、暗黙のルールとして私たちの行動を支配することがある。ルールから逸脱しても、罰金をとられたり、逮捕されたりするわけではない。その代わりに、「他者 (ひと) の眼差し」がある。「あの人は『私たちのルール』を破っている」という冷ややかな眼差しが。誰だって、その冷ややかな眼差しを想像すると、「らしさ」から逸脱したくても一瞬躊躇する。逸脱などしないで、「らしさ」を受け入れて生きる方が幸せになれるかもしれない。でも、「らしさ」に縛られて生きづらいと思うこともある。

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