(第12回)数打ちゃ当たる統計的有意差と QRP — あなたもやっていませんか?
現実を「統計的に理解する」ための初歩の初歩(麻生一枝)| 2020.10.06

(毎月中旬更新予定)
数打ちゃ当たる統計的有意差
統計的有意差のある結果を得るのは,そうむずかしいことではない.とにかく片っ端からいろいろデータをとってみて,いくつも統計検定をすればいい.なぜなら,行う検定の数が増えれば増えるほど,そのうちの少なくとも $1$ つの検定で,統計的有意差の出る確率は上がるからだ.
$\def\dfrac#1#2{{\displaystyle\frac{#1}{#2}}}\def\t#1{\text{#1}}\def\dint{\displaystyle\int}\def\C{\text{C}}$
例えば,スマホを使いすぎると脳に悪影響があるかどうか調べたいとしよう.スマホを使う時間は $1$ 日に何時間と具体的に測ることができる.しかし,脳への影響は何やら漠然としている.そこで,脳への影響を測る尺度として,脳の血流量,単語を記憶する能力,計算力,論理的思考力,空間認知力など,さまざまなものを測定する.
