(第10回)統計的有意差と生物学的重要性 — ふたつは別物
現実を「統計的に理解する」ための初歩の初歩(麻生一枝)| 2020.08.13

(毎月中旬更新予定)
$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$
実験群と対照群の間には、統計的に有意な差が認められました ($p < 0.0001$)。
$p < 0.0001$。このように論文に書かれていると、いかにもすごい発見がなされたかのように思いがちだ。しかし、統計的な有意差と、生物学的、医学的、あるいは実用面での重要性は、別のものだ。$p$ 値の意味するものは、第8回に紹介した、
「実験群と対照群では効果に差がない」と仮定した時に、手元の結果、あるいは、それ以上に極端な値 (大きい、あるいは小さい) が得られる確率
に尽きる。これ以上でも、これ以下でもない。実験群と対照群の差、例えば、新薬の効果の程度、については何も言及していない。
