製品特性・品質の変化を考慮した企業合併シミュレーション

海外論文サーベイ(経済セミナー)| 2020.06.08
 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です.

(奇数月下旬更新予定)

Fan, Ying (2013) “Ownership Consolidation and Product Characteristics: A Study of the US Daily Newspaper Market,” American Economic Review, 103 (5), pp.1598-1628.

遠山祐太

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はじめに

企業合併に関する分析は産業組織論における重要な課題の一つである。企業合併には、企業数の減少にともなう市場支配力の向上(反競争効果)と、規模の経済などを通じた合併企業の生産性向上(効率性向上効果)という 2 つの効果が存在しており、合併がもたらす社会厚生への影響は必ずしも明らかではない。したがって、合併事例ごとにその合併がもたらす帰結を評価することが重要となる。日本を含めて多くの国では、競争法(独占禁止法)によって企業合併に際しては当局の審査が求められており、その際企業合併が消費者に与える影響、とくに合併による製品価格の変化が合併評価のポイントとなっている。

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