Botによるフェイクニュース(low-credibility content)の拡散

海外論文サーベイ(経済セミナー)| 2019.10.08
 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です.

(奇数月下旬更新予定)

Shao, Chengcheng, Giovanni Luca Ciampaglia, Onur Varol, Kai-Cheng Yang, Alessandro Flammini and Filipp.Menczer(2018)”The Spread of Low-Credibility Content by Social Bots,” Nature Communications, 9 (4787).

松井暉

はじめに

ドナルド・トランプが当選した 2016 年のアメリカ大統領選挙以降、「フェイクニュース」が注目されている。フェイクニュースは自動プログラム Bot (ボット)によって自動的・組織的に拡散されていることをご存知だろうか。Bot はインターネットでの情報の拡散、操作や収集に関与していることが知られている (Ferrara et al. 2016)。

本稿では、Bot による「low-credibility content」の拡散を分析した論文をレビューする (Shao et al. 2018)。Bot 研究で多くの業績があるインディアナ大学(アメリカ)の研究者と、国防科技大学(中国、National University of Defense Technology)の学生によって執筆された論文である(なお本稿では、low-credibility content をフェイクニュースとしている)。分析には、Twitter から取得されたデータが使われている。Twitter は文字や画像を発信する「ツイート」、他人のツイートを拡散する「リツイート(RT)」などの機能を持つ SNS で、経済学者にもヘビーユーザーがいる(IDEAS のランキングのトップはポール・クルーグマン氏 (@paulkrugman) で約 450 万、日本人トップは大阪大学の安田洋祐氏 (@yagena) で約 2.4 万フォロワー。IDEAS (2019))。

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