経済学の魅力と有用性 — 学ぶ側の視点から(経済セミナー2019年4・5月号)

特集から(経済セミナー)| 2019.04.02
経済セミナー』の特集に収録されている対談・鼎談の一部をご紹介します.

(奇数月下旬更新予定)

抽象的でとっつきにくいと思われがちな経済学。そのイメージを変え、魅力を伝えるべく設立された学生団体UTEA (The University of Tokyo Economics Association)の活動に関わる方々をお招きし、学部生、大学院生として、またビジネス現場で活躍する立場から、 「何がおもしろいのか?」「どう役立つか?」 「学習や研究から何が得られるか?」などをお話いただいた。

小田原悠朗さん(株式会社ビザスク)
金子雄祐さん(株式会社サイバーエージェント)
小林雅典さん(東京大学経済学部4年)
澤山健さん(東京大学経済学部4年)
中神響子さん(東京大学経済学部4年)
(収録は2019年1月17日、所属・学年は同年4月現在)

1. 経済学との出会い

— 本日は、UTEAの活動に関わる皆さまにお集まりいただき、経済学の魅力や学習・研究上の工夫、加えて皆さまの活動について伺いたいと思います。まずは自己紹介も兼ねて、経済学に関心を持ったきっかけをお聞かせください。

小田原 小田原悠朗と申します。東京大学大学院経済学研究科修士課程に在学中で、2019年4月から株式会社ビザスクに就職します。専門はゲーム理論、特に制度設計やオークションの理論です。学部では松島斉ゼミと、佐藤整尚ゼミに所属していました。松島ゼミでは、制度設計とオークションの理論を中心に勉強しました。佐藤ゼミでは、ファイナンスのためのプログラミングや、アクチュアリーのための保険数理の勉強をしました。

もとは理系で東京大学の理科一類に入学しました1)。東大には、3年生からの進学先の学部を決める「進学振分け」(現在は進学選択)があります。当時から数学だけでなく社会にも関心があり、経済学では人と人との関わりについて勉強できるということを授業で知り、経済学部への進学を決めました。

経済学部の中で特に何を学ぶかは、神取道宏先生のミクロ経済学の授業を受けて決めました。当時は先生の『ミクロ経済学の力』はまだ出版されていませんでしたが、『経済セミナー』(経セミ)の連載2)と授業に強く感銘を受け、もっと勉強したいと思いました。また当時、松島斉先生も『経セミ』でオークションについての連載3)をしており、それが非常におもしろくて松島ゼミを選びました。加えて、好きだった数学と経済・金融の融合分野である保険数理にも関心があり、佐藤ゼミにも入りました。両方の勉強をしてみて、自分のより強い関心は人々が相互作用の中でどんなインセンティブに基づいて行動するかを考えることだと思い、大学院では制度設計の理論を専攻することにしました。

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録(無料)はお済みですか? 会員について

脚注   [ + ]

1. 東京大学では、入学後の2年間は教養学部に所属する。入学後の1年半は文科一類、文科二類、文科三類、理科一類、理科二類、理科三類に分かれて学び、その後3年生から進学する学部を選択してそれぞれの専門の学習へ進む。
2. 「あなたを変えるミクロ経済学」『経済セミナー』2013年4・5月号~2014年4・5月号に連載。
3. 「オークションとマーケットデザイン」『経済セミナー』2012年6・7月号~2016年9・10月号に連載。